【報告者】toku
【日 時】 20110514
【参加者】 toku
【山行名】縦走(トレラン)
【行 程】5月14日 晴れ、朝方風強し
4:00起床、5:21九折登山口スタート(三つ坊主コース経由)、8:00傾山、9:24笠松山、10:00本谷山、10:40ブナ広場、12:13古祖母山、12:59障子岳、14:02祖母山、16:29大障子岩、17:40前障子(障子岩)、19:00上畑登山口
所要時間13時間39分、日の出5:19 日の入り19:07、太陽が出ている間に完踏できた。
●誰が言い出したのか知らないけれど距離40km、累積標高3500mの祖母傾馬蹄形完全縦走というのがあるそうな、
山登りの経験もほとんどなく60リットルのザックを買ったばかり、どこかテント泊縦走したいなと思っていたところに、そんな縦走があるということで、2009年5月に1泊2日の行程で完全縦走をすることになった。(詳しくはこちらで http://asobow.sakura.ne.jp/rep/20090523.html )
縦走に行く前にいろいろ調べていたら1日で回るのに情熱を燃やしている人もいるんだというくらいに思っていたが、1泊2日の縦走を終えて、いつか自分もやってみようと思い始めた。
今年はランニングのトレーニングも阿蘇カルデラ100kmに向けて順調に進んでいるし、カルデラ前のトレーニングにもなるしと計画、ルート図の所要時間に0.6を掛けるとどうにか12時間くらいで回れそうだということで、日の明るいうちに1周できるかにチャレンジした。
●前日は仕事を早めに切り上げて、装備の準備をする。今回はできるだけ軽量化をするということと、もしかしたら時間切れでビバークするかもしれないことを念頭に準備した。食料は行動食のみ(ゼリー4つ、エネルギーバー2つ、アミノ酸3つ、キャラメル15個、飴6個、ごんじり7つ、おにぎり1個、アンパン1個)、水分はスポーツドリンク500cc、水2.5リットル(途中で補給)、服装は上は長そでアンダーウェア、半袖シャツ、下はサポートタイツにハーフパンツ、靴はトレラン用シューズ、防寒として薄手のウィンドブレーカーを持って行った。雨具は最後まで悩んだが降水確率と気温を考え軽量化のため外した。また、ビバークを考え、最初はツェルトを持って行こうと思ったが大きいものしかもっていないのでシュラフカバーに変更した。それと薄手のダウンジャケットを入れた。後は緊急用のロープ5mm×10m、カラビナ1個、スリング120cm1本、エマージェンシーシートほかである。装備は水を除いて4.5kgに抑えることができた。水を入れても7kgである。
途中で夕食を取り九折登山口には夜の9時に着いた。買ってきたビールで一人さみしく前夜祭をした。2本買ってきたビールのうち、1本しか飲まずに(ビールを残すなんて珍しい!明日のことを考えると2本飲むことができなかった(涙))早々と眠りに着いた。
●当日、4時起床、着替えをし、足に消炎剤を塗ったり、顔に日焼け止めを塗ったりし、食事を済ませると5時になった。ゆっくりとストレッチなどをして、5:21九折登山口を日の出とともにスタートする。三つ坊主コースを経由する予定だ。 登山口からコンクリート舗装の道を登り、青い橋を渡り山道へ入っていく。まだ体が起きていないのでゆっくりと歩く。2年前に登ったことを思い出しながら進む。結構な急こう配だ。観音滝を眺めしばらく登ると林道に出た。ここから少しピッチを上げる。息遣いも荒くなってきた。大きな木を眺め登っていくと水場コースと三つ坊主コースの分岐点に、前回と同様に三つ坊主コースを取る。右側には絶景が見えてくる。この時間帯はものすごい風が吹いている。樹林帯の中は風を防いでくれていたが、岩稜帯にでるとまともに風を受ける。ウィンドブレーカーを着用して寒さを防ぐ。このあたりのアケボノツツジは風のためか時期が遅いのか、花がほとんど散っている。谷の向こうには目標とする障子岩尾根が見える。今はすぐそばに見えるが、これから大回りしていくことになる。岩場を越え、アップダウンを繰り返し、傾山直下に着いた。絶壁の頂きには白い花をつけた木が何本もあった。
ほどなく、傾山山頂についた8:00到着、予定より1時間近く遅い、スタートが20分遅れ、コースタイムを水場コースで計算していたのでこんなものかと思いつつもちょっと焦る(汗)。
記念撮影をし景色を堪能しつつ小休止、天候は快晴、これから進む縦走路が一目に見渡せる。特徴的な祖母山もはるかかなたに見える。
傾山を後にして下りの快適なトレイルを快調に飛ばす。まだまだ元気だ。九折越に8:38に着く。広場の端にはヤマナシの白い花が満開だ。
ここから、また登り坂が続く、前回のときは20kg近い荷物を担いで死にそうなくらいきつかった登り坂だったが、今回は7kgと軽い走れはしないものの早歩きで笠松山へ向かう。今回も偽ピーク?に騙されながらも三角点のある笠松山に9:24に到着する。どちらが本当の山頂なのだろうか。偽ピークの方が標高は高いそうである。
さらに登り本谷山に10:00に到着する。山頂は展望なしである。ここから尾平越までは下りだ。途中のブナ広場で給水を兼ねて小休止する予定でペースを上げる。ブナ広場10:40着、水場の水量は結構あるようだ。プラティパスの水を確認したらまだ2リットル近く残っているようだ。九合目小屋までは持ちそうなので給水はせず、おにぎりでエネルギー補給をする。このころまでは、まだ固形物がどうにかのどを通る。
最低鞍部の尾平越を過ぎ、古祖母山までの400mを越える登りに差し掛かる。今回、最初の核心だ。今まで蓄積した疲労が心臓と肺を苦しめる。ところどころ立ち止り呼吸を整える。ここは標高1000m以上で空気も若干薄い。登山道沿いには満開のアケボノツツジがあちらこちらに咲いている。北側斜面を見ると何本ものアケボノツツジがあちらこちらにあり壮観だ。尾平越手前ではほとんど人に会わなかったが、こちらでは何人もの登山者に会った。しばらく行くと山頂手前の梯子場に着いた。なんでもない梯子場だが疲れていると登るのも大変だ。息を整えて慎重に登る。
喘ぎながらも12:13古祖母山にどうにか着いた。山頂では10人ほどがお昼ごはん中だった。ゼリーを補給し小休止、南方面の景色がいい。
もう、これほど長く続く登りは無い、次は障子岳、笹の生い茂る縦走路を先に急ぐ、登りは150mほどきついが古祖母山手前よりは楽だ。登山道脇に何本かシャクナゲがあったが、まだ蕾だった。障子岳山頂手前の縦走路が二手に分かれていてちょっと迷ったが1時間もせずに12:59障子岳に着いた。予定より1時間10分ほど遅れている。祖母山がすぐそこに見える。疲労もたまりお腹もすいていたので、とっておきのフルーツゼリーを食べた。かなりおいしい。エネルギーバーも食べようとしたが飲みこめない。噛んで水で流しこむが3分の1ほどしか食べられない。水を飲んでも体に吸収されてないような感じだ、スポーツドリンクを少し飲むと非常においしく感じた。休憩もそこそこに祖母山を目指す。下りだがなかなか足が進まない。平坦なところで意を決して走る。15時までに宮原に着かないとエスケープすることになる。祖母山までかなり急いだ。鞍部からの登り200mだが、梯子場あり岩場ありで、息が上がったままでは危ない、慎重に登っていく。山頂直下の岩登りは普段では何でもないところだが濡れているし息が上がっているし疲れているので、かなり慎重になった。どうにか14:02祖母山山頂に着いた。息が上がったままハアハア、ゼエゼエと息が治まらない。2,3分でどうにか息も治まった。ここが今回、第2の核心だった。山頂には4,5人の登山者がいた。写真を取ってもらって今まで来た縦走路を振り返る。ずいぶんと来たものである。傾山が遠くに頭を出している。
お腹がすいたので、残りのフルーツゼリーとチューブゼリーを食べる。フルーツゼリーは最高にうまい。パワーバーも少しかじったが吐きそうになる。アンパンも残っているが食べる気がしない。塩キャラメルとごんじり(漬物)で塩分補給、スポーツドリンクも三分の一ほど残して飲む。景色を堪能したり、会長と山行部長に連絡したりしながら20分ほど休憩する。いよいよ最終関門の障子岩尾根方面へ向かう。まだまだ先は長い。
10分ほどで九合目小屋に着いた。K藤さんは小屋の裏で何か作業をしているようだ。今日も小屋から音楽が流れて来ていたがグローブの曲ではなかった。小屋の下の水場で水を補給する。残り1リットル弱になっていた。あと4~5時間ほどの行程なので1.5リットルになるように補給する。数日前に雨が降っていたのでホースから出ている水量もたっぷりだった。
宮原までは下りで少しのアップダウンと馬の背があるが快調に飛ばす。池の原までの登りもまだどうにか速足で歩けた。大障子岩が見えてきた。すぐそこに見えるようだがそこからかなり(100mほど)下らなければならない、しかも手足を使うかなりの悪路だ。登りも木をつかんだり木の根っこをつかんだり、喘ぎ喘ぎ登っていく。このあたりからは通常のコースタイムで進むのがやっとだ。アケボノツツジもシャクナゲもきれいに咲いているが、だんだんと関心が薄れてきた(汗)。
そうこうしているうちに、どうにか大障子岩の基部に着いた。少し登り返して16:29三角点のある頂上だ。三角点を通り越して岩稜帯に出れば傾山から本谷山、古祖母山~祖母山と歩いてきた縦走路が一望にできる。もう少し先まで行けば三つ坊主も見えるが、今回は気力が無かった。三角点に戻って記念撮影をし、前障子を目指す。
かろうじて傾山が見えるところまで岩稜を進む
すでに16:30を過ぎ、日没まで3時間弱、後1時間で前障子につけなければビバークの可能性も出てくる。ここからも手を使わなければならない悪路のアップダウンが続く。もう、かなり疲労がたまっている。どうにかこうにかコースタイム通りに前障子基部に着いた。ナイフリッジ状の岩稜を登って頂上まで行くかどうか迷った。疲れていなければなんでもないようなところだが息を整えて疲れた体に鞭を打って慎重に頂上を目指す。17:40前障子に着いた。ゼリーの補給とスポーツドリンクの残りを飲み干す。
前障子三角点(ここの本当の名前は何でしょう?前障子岩、前障子、障子岩?ここでは前障子とする)
あとは、ほぼ下りだけだが、日没まで約1時間半、コースタイムは2時間、先を急ぐ。見晴らしのいい露岩を18:09に過ぎる。ここからの登山道は道が何本も分かれているところがあり、テープを見失うと迷ってしまいそうなところがある。ヘッドライトをつけても心もとないので日没で真っ暗になったら、そこでビバークせざるを得ない。雨の心配もないし気温もそれほど下がる心配はないが、ここまで来たなら今日中にゴールしたいところだ。下りだけというのも気が楽だが、こう配が急で快調に走るというわけにもいかない。一歩一歩ブレーキをかけ脛と太ももの悲鳴を聞きながら頑張って下っていく。谷をトラバースし沢を渡れば登山口も近い。森林から抜け出し明るさが戻ってくると下の方に人工物がみえた。まだ19時前、日没まで時間があるし、ほっと一安心である。砂防ダムを過ぎれば民家が見え登山口まではひと走りである。民家の向こうに今朝通った三つ坊主が顔を出している。まもなく県道が見え障子登山口と書いた看板が立つ上畑登山口に着いた。19時ちょうどだった。
上畑に着き一安心だが疲労困憊の様子(汗)
どうにか日の出とともに出発し、日の入り前に到着できた。ここから九折駐車場まで4km、ここも走って行こうかと思ったが気力が無い。日没までの時間から解放されのんびりと駐車場を目指す。20分ほど歩くとあたりが暗くなってきた。ヘッドランプを取りだしてくてくと歩いて行く。時折、鹿がガサゴソと音を立て驚かしてくれる。すでに日も沈みあたりは真っ暗だ。正面には10日月が出ている。心細い真っ暗な中を駐車場まで足を速めるが、まだまだつかない。こんなに遠かったかなと思っていたら、折よく自動車が来て乗せていただくことになった。山口から傾山に登りに来たそうだ。残り1kmほど最後まで歩き通そうという気も少しはあったが、疲れと暗い夜道の不安とで、そんな気は吹っ飛んで行ってしまい、ほんとにありがたいと思った。
九折駐車場に着き、自分の自動車を見ると、ほんとにホッとした。もう今日は歩かなくていい!!!
山口の人にお礼を言って、買っておいたオレンジジュースをガブ飲みし、着替えもせずに竹田を目指す。とにかく早く温泉に入りたかった。時間も21時を過ぎそうだし空いているか不安だったが前回と同じ竹田駅近くの温泉花水木が営業していた。22時までだそうである。ほっとしてのんびりとお風呂に入る。体重を測ったら3kgも体重が減っていた。
お風呂に入って落ち着いたら、お腹がすいてきた。いつもは肉系が食べたくなるがのどを通りそうにない。うどん屋さんを捜しながら帰りに着くが見当たらない。しかたなくジョイフルでうどんを注文し、ゆっくりと味わってうどんを食べた。家には23:30に着き、山道具の後片付けも何もせずベッドにもぐりこんだ。疲れた―!!!
感想:もう2度とチャレンジしたくないです。
考察:スポーツドリンクを1リットル増、水を1リットル減にしたがよい。